もっと売れたい人生だったと気づいた時、僕はプライドを捨てZARDを買った

      2020/01/20

ZARD

カット・鏡乃もちこ

地下アイドルを題材としたマンガ原作を書いていて、「メジャーになる、ヒットするとはどういうことだろう?」と考えていました。
そしてふと気づきました。

「そういえば俺、マイナーな道を歩んで来たんだよな」と。

美少女ゲーム、スタンプ、同人音声……いくつか「その界隈」でヒットしたと言える作品もあったけど、それでも「ひっそりヒット」「知る人ぞ知る」ってレベル。
数で一番売れたのはスタンプの「中二カノジョ」ですが、それは珍しい例で、基本5千~1万本を狙い、そこまでいかない作品も多くあります。
ほんとに大したことないんですよね。

これまで自己資金の範囲で手堅く食えるショーバイをすることが僕にとって重要でした。
それは「大ヒットしなくてもご飯が食べられる」ということ。
でも、今ではもっとヒットを目指したくなっている自分がいる。

もっと売れたい人生だった

「何とか食えること」については多少ノウハウがあるけれども、今はWEB漫画というジャンルでもっと多くの人に見てもらいたい。利益率とかそういうことよりも。
だけど自分には「大ヒットする」とか「バズる」ということがよくわかりません。フォロワーも別に多くないし、界隈で有名ってわけでもないし。

そう言えば、子供の頃からマイナーなものが好きな生き方をしていました。
音楽も洋楽中心だったし、漫画や映画もマニアックでオタクなものを嗜好していたように思う。
そして今になって気づくのです。

ああ、もっと売れたい人生だった、と。

「なんとか食えるレベル」とか「隠れたヒット」ではなく、「大ヒット」させるには、きっと自分には足りないものがたくさんある。
だとしたら、もっと研究したい。
どうしてかって、そんなに売れてないからですよ! orz
まずそこを認めることがスタートだな、と思うのです。

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よし、ZARDを買おう

そして買ってきました。

「ZARD」のCDを。

なぜZARDなの? それも今頃になって!
思いついたのがZARDだったのです。
きっと「今の自分から一番遠いもの」だと思ったからですね。
ZARDが大活躍していた90年代は僕は洋楽や渋谷系を聞いていて、よく知らなかったですし。
きっとその頃は自意識過剰な悩める青年で、「オレは売れてるものは聞かん!」とかっこつけていたのかもしれません。

そして長島茂雄がついてきた

一番売れたCD『ZARD BEST The Single Collection ~軌跡~』が届き、「負けないで」「君がいない」「揺れる想い」など僕でも知ってるヒット曲を楽しく聞いていると……。
4曲目の「果てしない夢を」という曲では急に男性ボーカルが。
どうもデュエット曲のようです。
「こんなのもあるのか」と聞いていると……後半プロっぽくないくぐもった男性の歌声が……。

しかしこの特徴的な声、どこかで聞いたような……。プロのボーカリストの声には思えない……。

クレジットを確認すると、「フューチャリング・長嶋茂雄」の文字が。

ミ、ミスター?

そうか、ヒットさせるとは、国民的大スターをフューチャリングすることだったのか!

…きっと違います。

調べてみると、日本テレビ系『劇空間プロ野球93』テーマソングという企画モノだったようです。
正式なクレジットは「ZYYG,REV,ZARD & WANDS featuring 長嶋茂雄」でした。
こんなのも入ってるシングルコレクション、面白いですね!

ZARDのヒット基本データ

ZARDの基本データをまとめてみましょう。
作詞・ボーカルの坂井泉水を中心に1991年に結成。坂井さんはモデルとしてスカウトされたけど、歌手デビューは念願だったようです。
坂井さん以外のメンバーは入れ替わっているので、実質一人ユニットですね。
作曲陣に稀代のヒットメーカー・織田哲郎さんがいるのも特徴です。(「負けないで」「揺れる思い」など)

シングル「Good-bye My Loneliness」でデビュー。以後『負けないで』『揺れる想い』『マイ フレンド』など9作でミリオンヒットを記録。

一番売れたシングルは「負けないで」(164万枚)
一番売れたアルバムは「ZARD BEST The Single Collection ~軌跡~」(302万枚)。オリジナルアルバムだと「揺れる想い」(224万枚)です。

こういう数字をだいたい覚えておくのは、規模感の見当をつけるのに大事だったりしますね。
「マイフレンド」は大人気アニメ『SLUMDUNK』のEDとしても印象に残っていますね。

90年代の女性ボーカルでは売上1位(オリコン調べ)だそうです。すごいですね。
ちなみに男性ボーカル含めた全体では3位。
1位はB’z、2位はMr.Children、4位はCHAGE&ASKA、5位はSMAP。

「ZARD BEST The Single Collection ~軌跡~」のレビュー

出世作の「負けないで」に特徴的なんですけど、さわやかに後押ししてくれる、という印象ですね。
決して主張が強くはない。
僕が好きだった「ベイビー、俺はスターだぜ!」みたいに孤高のアーティストがドヤる系ではなく…。

クラスの隣の席にいる、時々おしゃべりするクラスメートのような優しさがあります。
きっと奥ゆかしくてかわいい子なんだろうな。(願望)
そういうさわやかで奥ゆかしい曲が日本では受け入れられやすいのかも。

飾らず気さくに、どんな夢でも純粋に応援してくれる。そんな等身大の歌詞と歌声の世界です。
誰もが「自分が主人公」だと思わせてくれるような、そんな爽やかな風が吹いていました。

ボーカルの坂井泉水さんがあまりテレビ等に露出しなかったこと、2007年にがん闘病中の病院での転倒事故で亡くなったことも含め、普通っぽさと謎めいたカリスマ性が同居した人だなと思いますね。

ヒットする曲って何だろう?

このCDを聞いていて、ヒットって「教室の中で何人が『最高だね!』と答えるか」みたいなものかなと思いました。
40人のクラスなら、20人くらいが「いい曲だね」って言ってくれるような、さらにその中で10人くらいがカラオケで歌うような、自然な浸透力がある。
僕が好きだった癖のあるアーティストでは、きっと顔をしかめるクラスメートもいますからね!

一般人にはわかりにくいとか、アクが強いとか、技巧的でこだわり抜いているとか、オタクっぽいとか、エロいとか、そういう多くの人が受け入れるのを阻害する要素がないな、というのがZARDの感想でした。
やっぱり、歌声も曲も普通に最高ですよね。

人生で初めて、謎のプライドを捨てて「売れてるものを買ってみた」

ZARDをAmazonでポチった時は少し覚悟が必要でした。
「謎のプライド」を捨てたのです。
それは、「売れているものを素直に買うのが嫌」という、謎のプライドです。

「みんなが聞いてるものを買うだなんて」的な。「人と違った自分でありたい」的な。
例えば、僕は映画の『タイタニック』をまだ観ていません。
他のキャメロン映画はだいたい観てるんだけど、あまりに大ヒットって言われちゃうと引いてたんです。
でも、今はちゃんと見ておかないとなーと思います。
そんなくだらないプライドに縛られているようでは、きっとヒットを出すために成長できません。
いつもと違う行動をしないと、自分も変わらないと思うんですよね。
あえて「売れているものを買ってみる」。
それで普段見えていない違ったものが見えることもあるかな、と。
自分の目的が明確に見えてきたら、そのためにはつまらない恥やプライドなんかさっさと捨てた方がいいと思う。

今は売れるものがさらに売れる時代。
粘り強く「ヒット」を研究していけば、いつか「ヒット」がつかめる…かなぁ?

今回のまとめ

プライドを捨てて、売れているものをまず見てみよう!

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