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ソーシャルゲームのイラスト制作を依頼された時に気をつけたい、5つのポイント

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ウチは自社ブランド(SherbetSoft)のゲームやグッズを制作しながら、今をときめくソーシャルゲームのイラスト制作も請け負っています。
スマホアプリが多いですが、ブラウザゲームもあります。

ソーシャルゲームのイラスト制作を依頼された時に気をつけたい、5つのポイント

Illustrated by 鏡乃もちこ

そこそこやってきて制作実績も溜まってきたので、ソーシャルゲームのイラストを請ける時のノウハウ・注意事項を、制作者側の視点からまとめてみました。

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(1)まず受注するための受け入れ体勢作りとして、「自分のサイト」を作ろう

イラストの場合、Pixivから依頼が来る事が多いと思いますが、できるだけ自分のサイトも用意して、Pixivのプロフィールからリンクを貼っておきましょう。
そして「イラスト制作依頼を受け付けている」事を記載しておきましょう。Pixivプロフィールでも同様です。
クライアントから「こんな人なのか」というイメージがつき、ブックマークされたり覚えてもらいやすくなります。
クライアントの立場に立って、依頼しようと思う人がどういう経路を辿るのか、考えるのが大切です。

サイトは普通のブログでも構いません。レンタルサーバーにWordPressをインストールして独自ドメイン運用をするのが本当はおすすめですが、少し手間とお金もかかるので、ライブドアブログなどの無料ブログでも問題ないでしょう。
ブログに問い合わせフォームを設置しておいて、普段使っているメールアカウントで問い合わせのメールにすぐ気付くようにしておきましょう。
ウチの場合だと、WordPressの「Contact Form 7」というプラグインで、問い合わせメールを普段使っているGmailに転送させています。
Gmailの場合、迷惑メールボックスに入ってしまわないように、「設定→フィルタ」でラベルをつけたり、迷惑メールフォルダをスキップするよう条件設定しておくと良いと思います。

(2)メールの連絡は迅速に、断る時も必ず返事をすること

連絡が途切れるのは最悪です。依頼しているクライアントもストレスMAXです。
忙しくて待たせてしまったとしても、せめて二日以内に返事をしましょう。
締切に遅れそうな時も、あらかじめ連絡しておくとクライアントも安心して対応できます。
大抵の場合、事前に連絡すると大きな問題は起こりにくいです。
メールでやり取りする時に注意していただきたい点は、「長文メールは絶対悪」であるという事です。
長文ではどこが要点なのかかえってわかりにくくなり、返事しにくくなるものです。
定型文のあいさつを文頭と文末に仕込んで、あとは最低限聞かなければならない用件のみを、シンプルに書きましょう。

やむなく依頼を断る時は、条件が合わないので気に病んでも仕方ないです。サバサバと断りましょう。相手だってサバサバしてるものです。
人気のある人には依頼が集中しますし、クライアントが無名で失礼な感じだった場合は無視する、という事も多いと思います。
ですがやはりプロとして、きちんと返事するのが大人だと思います。(自分も振り返って反省したりします。)

例えば、依頼を断る時はこう書くと良いと思います。

「今回は残念ながら条件が合わず、お受けすることができません。ご希望に沿えず申し訳ありません。また今後何かあればよろしくお願いします。」

こう書いておけば、感情的なしこりは残らないと思います。次回は条件が合うかたちで声がかかるかもしれません。
たとえふざけた金額で依頼されておこ状態だとしても、将来に希望を残すのは両者にとってポジティブですし、いい人になった気がするので精神衛生上良いと思います。(実は何より優先されるのは自分の精神衛生だったりするんですよね。感情は仕事に影響出てしまうので。)
ちなみに、内輪での連絡や画像のやり取りは、最近はLINEグループを使う事が多いです。PCでもスマホでも使えるし、画像ファイルのやり取りが楽です。

(3)依頼を受ける前に、自分にとって「メリットがあるかどうか」を考えよう

そもそも依頼を受ける前に、その依頼を受けるべきかどうか、考える習慣をつけましょう。
金額だけでなく、相手先の格とかブランドというものを見るのも、正直あるのではないかと思います。
「きゃー、KADOKAWAから仕事来ちゃったぁ♪」とか「任天堂の倒し方がわかると思ったから(真顔)」などと、気安く引き受けてしまう場合もあるでしょう。
自己ブランディングという虚栄心とリアルな懐具合を天秤にかけ、よく考えるべきだと思います。

判断する材料が足りない場合、「企画書などありましたら見せてください」などと一度間を置くのも良いでしょう。というかそれが普通だと思います。
たとえ生活が苦しかったとしても、何にでも犬のように飛びついていては、「自分が本来何をやりたかったのか、どんな価値を社会に提供したかったのか」わからなくなってしまいます。
それなら外でバイトしてた方がましというものです。
例えば、清潔感のある企業向けイラストなどを今後やっていきたい場合、アダルトソーシャルゲームのこってりつゆだく案件は、相当なギャランティがないとメリットを感じにくい、という事もあるかと思います。

ワシにはそもそも依頼なんかちっともこないんじゃ(゚Д゚#)ゴルァ!!
という方の場合は、「まだあわてるような時期じゃない」という事なんだと思います。氷のように冷静になって、バイトでもしながら練習や同人制作に時間を割きましょう。

(4)報酬について。フリーランスは「一日一万円」で計算してはいけない

専業のフリーランスの場合、あまりにも低い金額で受けてしまうと、得られるのは「絵の仕事をしている自分って素敵♪」という虚像だけで、実際はワープアまっしぐらです。
イラスト一枚、キャラデザ一枚描く時に費やす時間や労力はなかなか短縮できないものです。
うまくなってもよりこだわりすぎて、一向に早くならない人が多いのです。
新人ならどんな安い仕事でも露出して名前を売っていくべきだ、というのもわかるのですが、いつまでもそれでは将来がありません。
いつギャラ上げるの? 今でしょ!
……とはなかなかいきませんが、いつまでも「一日一万円換算」で見積もっていては、厳しいのではないでしょうか。
病気になる事だってあるし、いつパソコンが壊れたり、タブレットが壊れたりするかもしれません。電気代も上がってます。
何より、これまで絵の勉強に費やしてきたコストに見合わないと思います。
スキルの習得に何年もかかる専門的なプロである以上、本来は外食店のアルバイトと同じ単価でやってはいけないのです。
(最近の絵描き大量発生によるコストダウン圧力は確かにありますが、それは圧倒的なスキルと個性、知恵と工夫でしのぐしかないと思います。)
受けるギャランティの水準については、「自分でマイルールを決めて相手に押しつける」のが良いと思います。
これはないわぁ、という条件が提示された場合、

「すいませんが、私は~万円から承っております」

と、氷のように冷静に返事してしまいましょう。
やはり大事なのは氷です。ひんやりとした世界なんです。ハートフル探さないで。
先方がそのギャラでもOK、と応じてもらえる場合もありますし、それ以来ぷっつり返事が来なくなる残念な時もあります。
その場合、「どこも大変なんだなぁ」と思えばすむ話です。

じゃあ、もし受けて良い条件の仕事が全くなくなったらどうするんだヨォォ?
…その仕事はオワコンになってしまったので、「もっとワリの良い市場」に移動するしかないというのが、僕の基本的な考えです。

(5)消費税、締め切り、支払い日、請求書について

これは実際、クライアントが説明しない事が多いのですが、「消費税、納期、支払い日」を先に確認しておきましょう。どうせ聞く事になるのだから、曖昧にせず最初から書いて欲しいものです。

消費税は、基本プレイとして「消費税は外税でお願いします」と言っておくべきです。だって10%に上がるのは規定路線なんですもん。最初から税込みで、と提示されたら、金額次第で考えましょうか。

締め切りは当然要確認ですが、他の案件で忙しい場合、交渉で調整できる事も多いです。
ちなみに「〜月上旬で」などと曖昧に言われる事もありますが、厳密には「上旬」とは10日まで、「中旬」とは20日までを指すようです。日本語って奥が深いですね。

支払い日は、「月末締め翌月末払い」あたりが多いと思いますが、「3ヶ月後」などという時もあります。(こういうのを支払いサイトと呼びます。)
特に古参の出版社などは、支払い日を明確にしない慣習があるみたいですし、そういう場合は「老舗もいろいろ大変なんだなぁ」とか思いながら断るかどうか決めると良いと思います。
長い支払いサイトを許容できるかは懐具合によるでしょう。

それら条件をクリアできて、めでたく受注・制作開始となります。
制作に入るため、発注書やコンテ、資料等をもらいましょう。
メール一行で「こんな感じで」というざっくりワイルドな依頼も時にはありますが、創造性を発揮できる素敵な仕事だと思えばすむ事です。
NDA(機密保持契約書)の署名捺印・返信が必要な時もあります。

請求書は、納品後にきちんと出すのを忘れずに。
納品後に先方に「請求書はいかようにしましょう?」と聞くのが良いでしょう。
PDFメール送信でいい、という先進的な会社もありますが(ウチもそうです)、基本は未だ封書だと思います。
請求書のエクセルテンプレートは検索すると色々出てきます。PDFにする時は「BullZip PDF Printer」あたりでPDF変換すれば良いです。

原稿料含めてこれらの項目は忘れがちなので、僕はGoogleスプレッドシートで受注リストを作って、状況をこまめに確認しています。

(6)クライアントに対して「上から目線」になってはいけない

最後に心構え的な事を。
基本的な姿勢として、やはりクライアントは「お客様」です。
クライアントの担当者が新人で不慣れな場合もありますし、忙しいディレクターで連絡や発注指示が雑な時もあります。
比較的新しくできた業界なので、仕方ないところもあります。
そして担当者がどんな「若造」でも、「疲れて朦朧としたディレクター」でも、やはりお客様はお客様なのです。

クライアントを、決して上から目線で舐めてかかってはいけません。
貴重なお金を、あなたの制作物に投資するのは、クライアントなのです。
誤解しないで欲しいのですが、上下関係があるという意味ではないのです。
作品を良くするため、積極的に提案するのは良い事です。
ただ担当者への最低限のリスペクト、距離感を踏み越えてしまったら、決していい関係にはなりません。

依頼を受けてしまった以上、自分が作ったキャラクターやゲームが広く楽しまれるよう、可能な限り努めるのがプロです。
そうしないと、お得意先にはなってくれないと思います。
Twitterなどで宣伝に協力すると、クライアントに喜ばれるでしょう。そういったハートフルな積み重ねが「お得意先」を作ります。

Twitterやニコ生でクライアントへの愚痴を言ったりする困った人も、たまにいると聞きます。
そういう人には、厳しいようですがお得意先はつかないと思ってください。
(漫画などで担当編集を「いじる」ものもありますが、あれは信頼関係があって初めて成立する高度なプレイなのです。)

ソーシャル時代ゆえに誤解があると思うのですが、この世界、得意先を幾つか確保するだけで、食べていけたりもするんです。
多くの数を意識するあまり、一つ一つの「縁」をおろそかにすると、かえって遠回りになります。
一つ得意先を作れるという事は、十の得意先を作れる可能性もあります。
その大切な得意先に対して、舐めた態度のままでいると、「関係を切ってしまう口実」を与えてしまう、という事になりかねません。
クライアントだって人間であり、あなたと同じく感情のある生き物です。
必死に生き残るために、良いものを作るために働いている大人なのです。
どんな時も誠意を持って、丁寧に対応するのがプロだと思います。
依頼があまりにも多くて、丁寧な対応ができなくなってしまった時は、断るのも大事な仕事です。
その場合は、良条件であるとか、担当者とのつきあいが長く信頼できる、といった関係が残っていくものだと思います。

Twitterやブログ、ニコ生などの公開情報の場で、取引先との秘密を守れない人は「問題外」でしょう。
アナログな場所でのおしゃべりやLINEなどは必ずしもその限りではないかもしれませんが…どこで漏れるかわかりません。
最初から「漏れても構わない事しか言わない」という正々堂々とした姿勢でいるのが、精神衛生的にも良いと思います。

……あれ、6つになっちゃいましたね。てへ。

最後に

ソーシャルゲームのイラスト制作は、大抵の場合は著作権譲渡が前提で、ロイヤリティがつくことはまれです。納品したらギャラが入るだけのシンプルな世界です。
なのになぜ我々が自社タイトルだけでなく依頼を受けているかというと、「他社と関係を持つことで世界が広がるから」というのが大きいと思っています。
また、所属スタッフも自分の仕事を多方面に露出することができるので、ストレスもたまりにくいみたいです。
自社ブランドですと原画家ひとりしか露出できない事が多いですからね…。

現在所属するイラストレーターの他にも、大口案件の場合、知人のイラストレーターに仲介することもあります。
私は自分の仕事をしながら、彼らの制作進行をしている立場です。
仲介する時はわりあい良心的にやっていると思います。搾取はしてないと言っていいと思います。(笑)
ただしそれなりの腕がある人だけに仲介しています。少なくとも全員、プロの漫画家・商業原画家クラスです。
実力もそうですが、気構えの部分でも自己管理が必要な大変な時代だと思います。

このエントリーが、皆様にとってクリエイトの世界を広げていける一助になれば幸いです。

(2014/08/06 誤字脱字、曖昧な表現など一部を修正しました。)







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