【2015年4月更新版】LINEスタンプの利益率 スタンプ専業作家は可能なのか?
2020/01/20
結局、LINEスタンプっていくら儲かるの?
LINEクリエイターズマーケットは、企業・個人を問わず誰でも参入できます。
「上位10スタンプの売上げ平均は三千万円以上」などと、成功事例が各所で話題になっています。(三千万円の例は、クリエイターの手取り金額ではなく売上であるのに注意が必要です。)
例えばこんな記事もありました。
LINEスタンプ発売で手取り800万の女性 書籍オファーで退職(NEWSポストセブン)
一方で、売れないスタンプは販売数ゼロが続く事もある、という、きわめて格差のつく世界でもあります。
作り手の気持ちとしては、スタンプ専業で生活は可能だろうか?と誰しも考えると思います。
この記事では、そういった大事なお金周りの事をまとめておきたいと思います。
※2015年2月、2015年4月の二度に渡り、分配金・販売価格での変更、また新換算レートの発表が確認されましたので、こちらは2015年4月9日現在の改訂版になります。
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(1)利益(分配金)と経費
分配金※改訂あり
まず、クリエイターズスタンプの販売価格は以下となっています。(税込)
- LINE STORE(PCブラウザ) 120円
- スタンプショップ(iOS、Androidアプリ) 50LINEコイン(120円相当)
※2015年4月3日のAppStoreのアプリ内商品価格値上げに追従して、100円相当から120円相当に値上がりとなりました。
クリエイターが受け取れる分配率は、1セットあたり「報告される売上げ確定額」の35%です。
※2015年2月登録申請分より、50%から35%に値下げ改訂されました。
また、LINEコインでの購入分の分配は、LINE社が決めた換算レートが適用されます。2015年4月30日までの購入分の換算レートは1コイン=1.47円、5月1日以降の分は1.76円となりました。(2015/04/09追記。)
また、クリエイター様への分配金については、既に1コイン1.47円で購入したユーザーの未使用分が多く、数ヶ月程度残るものと予測されますが、2015年4月30日分までの購入分は1コイン1.47円とし、2015年5月1日以降の分は1.76円といたしました。
(出典・LINE Creators Market マイページ内のお知らせより)
これはスタンプの販売コイン金額である50LINEコインに換算すると、2015年5月以降については1スタンプセットあたり88円(1.76円×50コイン)の売上となります。
つまりスマホアプリでの購入からの分配金は、1スタンプセットあたり88円の35%となり、31円(販売価格120円の25.8%)となります。(端数切り上げで計算)
(2015年2月以前の、分配率50%時に登録したスタンプについては、44円です。)
※海外通貨での売上げに冠しては、為替の影響で端数が出る可能性があります。
消費税と源泉所得税
月ごとの分配確定金額に8%の消費税が加算されて振り込まれます。
個人の場合は10.21%の源泉所得税が差し引かれます。
支払金額が100万円を超える部分は、源泉所得税は20.42%です。
これらの税金は確定申告する事で、ある程度還付されます。
法人として登録した場合は、源泉されません。
また、指定した銀行口座への振込手数料として一律540円が差し引かれます。
登録は無料
クリエイターズスタンプを登録するのに、お金はいっさいかかりません。
企業がスタンプショップでスタンプを販売する時はかなりお金がかかるそうですが、クリエイターズスタンプは無料との事で、企業もクリエイターズマーケットに参入してきています。
制作ガイドライン・審査ガイドラインに沿ったスタンプ画像さえ作ることができれば、誰でも無料でクリエイターズマーケットにスタンプを登録し、販売できるのです。
考えてみればこれはすごい事で、たとえば中高生が夏休みに作ってみたらヒットしちゃった、なんて事があり得るという事です。
(未成年者の場合は、保護者の同意が必要です。)
振込下限額は1000円※改訂あり
もう一つ重要なポイントなのですが、分配金額が1000円に達しないと振込申請できず、翌月以降、1000円以上たまるまで持ち越しとなる仕組みです。
※2015年2月より、1万円から値下げ改訂されました。
振込入金へのハードルは大分下がりましたね。最初の売上げを獲得するためには、最低でも30セット程度は販売しなければいけないという計算になります。(31円×30セット×消費税1.08=1004円)
ちなみに、LINEスタンプは最低でも40枚のスタンプ画像を作る必要があります。スタンプ以外に必要な「メイン画像」と「トークルームタブ画像」はスタンプ画像を流用できます。
40枚のスタンプ画像を作るのは、ものにもよりますが1日8時間フルタイムで制作しても2~3週間はかかるのではないでしょうか。
制作に踏み切るためには、最低でも30セットを売る自信に加えて、その労働費用を回収できる見込みが必要ではないかと思います。
(値段も安いしユーザーも多いので、例えばコミックマーケットで同数の同人誌を売るよりは難しくないと思います。)
(2)スタンプの新分配率「マージン35%」は良いか悪いか?
50%は決して悪くないと思っていたけれど
新マージン率35%を、好条件と見るか悪条件と見るか?
私個人の感触としては、35%だと「微妙になってきたな」と感じています。
マージン50%の時は、Apple、Googleへの30%の手数料をLINE社が負担しているのもあり、クリエイターに恩恵のある料率だと思いました。
現状のマージン35%の場合は、クリエイターとLINE社で「利益は折半」という感じだと思います。
一方で、Amazon Kidleや、他のダウンロード販売サイトなど、70%程度のマージンを約束しているプラットフォームは存在します。
スタンプ以外のコンテンツを制作できるクリエイターにとっては、絶対的にお得な市場という感じでもなくなってきたのかもしれません。
他方で、LINEスマホアプリの母数の多さ、手軽さから、売上げ上位50位内などを狙える自信があるなら、依然としてうまみがあるとも言えます。
また、日本だけでなく世界のLINEユーザーのスマホ端末から収益を得られるという満足感も多く感じられると思います。
そのあたりの制作コストと収益のバランスを考えた上で、参入や継続を決めれば良いと思います。
私のスタンスとしては、換算レートの変更も今後予定されておりますししばらく推移を眺めたいと思っています。
LINEに感謝の「お布施」をしたい人は
ちなみに、LINEにもっと利益を与えてあげる方法があります。
コンビニで売っているLINEプリペイドカードを購入して、ポイントをチャージする事です。
これはアプリを経由しない課金なので、Apple、Googleへの30%の手数料がかかりません。
プリペイドカードの製造コストと流通コスト、コンビニチェーンへの手数料はあるでしょうが、それを差し引いても、アプリ内課金よりもLINEにとって利益率は高いのではないでしょうか?
というわけで、スタンプを買う時にLINEに日頃の感謝を伝えたい時は、プリペイドカードを使いましょう。(^_^)
(3)海外市場からの売上げ
LINEクリエイターズマーケットで最も画期的なのは、海外の市場で販売できることです。
回収も確実で、海外の仕事につきもののトラブルもありません。
例えば、うちのスタンプ「中二カノジョ」の2014年10月の海外売上比率は、48.7%でした。(台湾・タイ・インドネシア。11月から英語圏も加わりました。)
LINEの海外での普及状況は、LINE社が配布している媒体資料をチェックすると良いと思います。
体感としては、日本>台湾>インドネシア・タイ>英語圏の順に売上げがある感じです。(作品によって順位は違うと思います。)
日本市場が半分以上を占めますが、特筆すべきものとして台湾は人口(2306万人)のわりには売れ行きが良いなと思います。
台湾はアニメファン人口が多く、日本人と趣味が合うのだと思います。ラブ台湾。
LINEのユーザー数はまだ増え続けていますので、期待しています。
各国語版の制作には注意が必要なので、こちらの記事をご覧下さい。
LINEスタンプ英語版がリジェクト!各国語版で審査に通る登録方法を考えてみた(追記あり)
(4)問題となるのは、入金の遅さ
スタンプを制作しても、すぐお金が入ってくるわけではありません。審査期間や支払いサイト(期間)の長さに悩まされます。
審査期間は2ヶ月以上はみておくこと
最も悩ましいのが、審査期間が登録完了から2~3ヶ月はかかります。
審査期間中に一度リジェクトされた場合、修正してからの再申請となりますので、やり直しになります。
「中二カノジョ」は途中で一回もリジェクトされませんでしたが、2ヶ月ちょっとかかりました。
これより短い場合もあるようですが、だいたい審査期間は2~3ヶ月、リジェクトがあればもっと伸びる、という事例が多いようです。
支払いサイトは最長55日
支払いサイトは、規約によると最長55日以内と決められています。
実際にあったケースでは、8月分のスタンプ売上げが、10月16日にLINEから振り込まれました。
これは9月10日に確定した金額を、クリエイターズマーケットマイページでその日に振込申請したものです。
ですので、その時の支払いサイトは46日だったという事になります。
スタンプ完成後、4ヶ月は入金がない
スタンプが完成して登録しても、審査期間に2ヶ月、支払いまで役2ヶ月と、約4ヶ月以上は入金がありません。
これは専業としてはちょっとツライものがありますね。
(5)まずは副業として始めよう
やはり、入金まで4ヶ月以上もかかってしまうという問題から、まずは副業でスタートして様子を見るのが良いと思います。
一攫千金の夢はありますが、収入は不安定だし、思いっきり格差のつく世界だと思います。
ただ、金銭的な見返りがあるという事は、やる気に繋がるものです。
スタンプ作家を始める事そのものは、特にお金や審査はありません。参入障壁がなく、門戸は開放されているのです。
外国人のスタンプ作家もいますし、それはいずれ競争がすごく厳しくなる事も意味します。
必ずお金が入るというものではないので、あまり気張らずに楽しんでやるのが良いのではと思います。
実際に、クリエイターズマーケットでは企業の公式スタンプ以上に、自由で多様なスタンプが販売されています。
見ているだけでも楽しいし、120円だから気軽に買えると思います。
(6)売れない時もある。リスクヘッジの方法を探すことが大事
売れない時があるゆえに、不確実性(リスク)をヘッジする手段もまた求められます。
確実な方法は、たくさん出すことです。
スタンプ制作の負荷はさほど大きいものではないので、たくさん出すことでリスク分散の効果があります。
商品がたくさんあればあるほど、それぞれコツコツと入金されるでしょう。
そして、次に目指すのは、スタンプのキャラクターや作家の認知度を向上させることでしょう。
最新作「中二カノジョ2 私服でデート編」が販売開始されました。
これらの記事は東京LINEスタンプクリエイター交流会での投稿を加筆・編集したものです。
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こういった本を読んでみるのもいいかもしれません。こちらは人気作家のインタビューもあって良いかと。
初めてスタンプやイラストを制作する方は、まずCLIP STUDIO PROとWacomのタブレットがセットになったこちらが良いですね。
スタンプ制作の編集時には、やはりPhotoshopもあると良いです。
(ドロー系のIllustratorでも良いですが、最初はビットマップ系最強ツールであるPhotoshopの方が入りやすいと思います。)