松井博氏セミナー「僕らが生きる未来」レポート @京都ベーコンラボ2014/6/24
2020/01/20
2014年6月24日、元Apple管理職で著作活動も活発な松井博さん(@Matsuhiro)のセミナーイベントが、友人の宮崎さんが経営されている貸し会議室(イベントスペース)京都ベーコンラボで行われるというので、お手伝いとベーコンラボへの見学を兼ねて行って参りました。(今回、僕は客ではなくボランティアスタッフの立場です。)
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京都駅徒歩3分!貸し会議室「ベーコンラボ」へ行く
東京から新幹線で約2時間半、ベーコンラボのHPに掲載されているyoutube動画を見ながら、京都駅(京都タワー口)を出て右に曲がって突き当たりを左、交差点をまっすぐ歩くと本当に3分で着きました。僕も自分が主催するイベントなどでよく貸し会議室を借りますが、ここは立地が非常に良いと思います。この立地で一時間3000円は安いですねぇ。
今回は4階の、リラックスした雰囲気のコミュニティルームを使用。フロアは空きスペースが多く、清潔でゆったりした印象でした。
宮崎さん、物件オーナーの三ッ林さんらと久しぶりに再会し、近況を報告し合いながら机をよけたり椅子を並べて会場設営を完了。ビル入り口で松井さんをお出迎えしました。
ゾロゾロと5~6人で待ち構えていたので、松井さんは驚いておられました。(^_^;)
いやだってシリコンバレーでスティーブ・ジョブズの部下だった方ですし。最敬礼でお出迎えですよ!
でも実際に会うと、「とても気さくなおっちゃん」という感じの方でした。
ちょっと面白かった出来事として、受付用に僕のMacBook Airを使っていると、「Apple製品を使ってくれてありがとうございます!」と言われた事です(笑)
ちなみに、松井さんがスライドショーを出力していたのは、MacBook Proでした。
松井さんは18時半の開始時刻を待ちながら、来場者とリラックスした雑談をしていました。受付では自分が主催している時にも使用しているチケット販売サービスPeatixの扱いに慣れていたのが役立ちました。
30名の定員は速攻で埋まったそうです。関西圏でこういったイベントは珍しいらしいですね。来場者は著書やTwitter、Cakesなどでの松井さんの読者が多かったように感じました。
テーマは「未来」
セミナー内容は「僕らが生きる未来」。松井さんはカリフォルニア州・クパティーノというシリコンバレーのど真ん中(Appleの本社もあります)に住んで幼稚園事業を営んでおられます。物価が高く、人種が入り乱れて白人は少ないそうです。そんな場所に住みながら、日々どんな未来を想像しているのか? 僕の興味はそういったところにありました。
内容は大きく分けて、
- 現状認識
- テクノロジーの方向
- 未来はどうなるの?
- で、僕らはどうすればいいの?
- Q&A
といった感じ。
松井さんは独身者の増加、グローバル化、ソーシャル化などの加速度的な環境変化を整理しながら、「変化はまだ始まったばかり」という事を強調されていました。数十年後はどんな社会になっているのか、確かに予想は難しいですね。。。
魔法のようになっていくテクノロジー
次第に話題は、最新のIT技術にフォーカス。ビッグデータの利用は日本でも話題になってきましたが、人工知能、ウェアラブル、Brain-Machine Interfaceなどは、アメリカではかなり実用化が進んでいるようです。
Google GlassやOculus Riftなどはすでに日本でも有名ですが、松井さんが特に注目しているサービスは「Meta Glass」とのこと。
これは眼鏡型デバイスに投影された映像を、手で触れて操作できる、というウェアラブルデバイスです。チェス盤なしで眼鏡に投影された駒を操ってチェスをしたり、手でデザインした3Dオブジェクトを3Dプリンタで出力する、などの各種アプリはすでにリリースされているそうです。これが未来か。。
さらにBrain-Machine Interfaceの発展は、「テレパシー」を実用化していくだろう、とも仰っていました。驚異的な技術革新が現在進行中なんですね。
未来の「人間」のあり方
そういった魔法のようなテクノロジーの恩恵を受ける社会で、人はどのように生きるのか?
松井さんが強調されていたのは、「心」の扱い方がもっとも重要になってくる、ということ。
物質的に充足し、Google Carの自動運転のような魔法のような機能を得てしまったら、残された領域は自分の「キモチ」しかなくなる。
「人はより自分のキモチ、他人のキモチに深く悩んでいくだろう」と。
心のバランスを崩し、精神を病んで自殺したり、社会を恨んで銃を乱射したり、先鋭的なナショナリズムに冒されている人は、すでに増えていますよね。その症状が悪化していく未来。
それはポジティブな技術革新の陰にある、ダークな格差社会の到来を予見するものでした。そしてその心の空洞を埋め合わせる宗教やカウンセリング、自己啓発といった「心のビジネス」がたくさん生まれてくるだろう、と。
その格差社会を僕の言葉で表現すると、単純な所得の格差のみではなく、いわゆる「非モテ問題」や、「評価ゲーム」に囚われた承認欲求の奴隷になっていくという事態なのだと思います。
では、どうすればいいのか? 情報の渦の中で心の問題に悩む人は、どう生きていけばいいのか?
松井さんは幼稚園で子供を自由に遊ばせるような、優しく遊び心のある語り口で、いくつかの解決策を提案していました。
印象に残っている解決策としては、「一生の仕事なんて求めない」「新しいトレンドには飛びつけ」「時期が来たら、職業を変える」「体験が重要」など。
毎日をポジティブに、フットワークを軽くして、その時興味のある事に集中すればいい。自分のキモチのままに、時代の変化と向き合いながら生きていくというフレキシブルなスタンスですね。
そしてもう一つ大事なのは、コンピューターや機械に仕事が奪われる前に、「いかに仕組みを創れる人になるか」という事。
創造性を養い、仕組み作りをして自分の収入を確保しながら、自分や家族や同僚のキモチをケアするバランス感覚が重要なのだと、強く思いました。
Q&Aコーナーでも来場者の方々と活発なやりとりがあり、セミナーは人生相談へと化していきました。(笑)これもくだけた雰囲気の松井さんのお人柄によるものでしょうね。
毎日を新鮮に、面白く!
イベント後は、松井さんを囲んで夕食を共にさせていただきました。
京都駅に入っている、いい雰囲気の和食屋さんでした。「日本は物価が安い、数十年前と物価が変わってない」と驚かれておられました。日本ずっとデフレでしたからね。。(^_^;)
松井さんはよく笑い、よく「面白い!」と言う明るい方でした。毎日を新鮮に、面白いと感じられるオジサンってかっこいいと思います。僕もそうありたい。
本日(2014/6/27)、新宿で同様のセミナーが開かれます。まだ席があるそうです。このレポートはあくまで本条個人による概要で、実際はもっと濃く、多岐にわたります。当日現金払いもできるそうなので、興味のある方は行ってみると良いと思います。日本で講演される機会はそうはないと思うので、3000円は破格の安さだと思いますよ!
(おまけ・京都観光)
翌日は京都観光に出かけて、龍安寺の名勝・石庭を見に行きました。高校の時の修学旅行以来です。庭園の景観の素晴らしさは、サッカー日本代表の敗退の傷心を吹き飛ばしてくれました。(^_^)
京都の賃貸物件は東京の半額くらいで、凝縮された都会だしいいなぁと思いましたね。
大石哲之さんとの対談。未来の働き方について考えたい時に。さくっと読めます。
日本では考えられない、Appleやシリコンバレーの企業文化などを知りたい方に。オススメです。